今暮らしている古いアパートがとても気に入っていて、人生で一番安心しながら暮らしていると思う。この部屋に来たことがある人はみんな半笑いで「ああ、あの(やばい)アパートね」と言うけれど。
自分の人生は雪道に似ている。注意深く次に踏み出す足をどこに置くか見定める必要があるのに、わたしはいつも投げやりに歩いて転んでばかりいる。雪道で転んだことがありますか? 転んだ後起き上がらずに空を眺めるのはいい気分だ。空から埃みたいにふわふわと雪が降りてくるとなおよい。
猫の病気が再発した。一緒に過ごせる時間はそんなに多くはないのだろう。わたしたちは星のかけらで出来ていて、死は、それが別のかたちに変わるだけなのだろう。頭では理解しているけれど感情は拒む。きみたちでなければ嫌だと思ってしまう。もっと賢くなりたい。感情の肩を抱いて支えてやれるくらいには(感情の肩とは?)。今のわたしはあまりにも弱々しくて、ひとりで立つのもやっとという有様だ。
今うちにいる二匹の猫がこの世界からいなくなったら、今後、猫と暮らすのは諦めようと思う。様々な理由から引き取って十年以上暮らしてきたけれど、わたしには過ぎた存在だった。そんなことを言いながら、いざ飛び込んでくる運命のように猫が目の前に現れれば、なんだかんだと言い訳をして猫と暮らすのかもしれない。