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からあげはあたため直さなくていいよ(ふにゃふにゃになるから)

アルツハイマー型認知症の祖母の介護を終えて、一人暮らしをはじめた人の日記

くちなしの丘


帰宅して、冷蔵庫を開ける。「お弁当用 食べないで」と紙を貼った引き出しにしまっていた作り置きおかずが外に出ている。いくつかのものは、綺麗に食べられていた。激しい感情がのたうちまわる。その感情にとらわれてはいけない。「あの引き出しは開けないでね」と、言っても仕方ないし言ってはいけないであろう一言を、言ってしまう。祖母は目を三角にして、ふん、とそっぽを向いた。祖母を、叩いてしまいそうになる。なんでこういうことするの、と怒鳴りつけたくなる。真っ黒な感情がからだの内側で暴れ回る。「なんでだと思う」なんでだ、なんでなんだ、なんで。「病気だからだよ」自分の声にはっとする。暴れていた気持ちがあっという間に温度を失う。冷静さを取り戻すと、待っているのは罪悪感だ。祖母を叩きそうになったことに対して、自分を責める。「責めたって仕方ないよ、なにもかも仕方ないよ」わかっている。わかっていても、どうしようもない。








仕事でも最近色々とあって、ときどき、泣きたくなる。ときどきというか、しょっちゅうだ。でも、泣いたりしない。泣いたって仕方ないからだ。泣いて仕事が終わるなら泣くけども。「やるせない」なと思う。仕事においても、介護においても。








お弁当のおかずをまた別に用意する。祖母が内容を確かめもしない「今日のお弁当のメニュー表」を書いて、イラストを添えた。そんなことしたってなににもならない、と自分の中で声がするのを、聞こえないふりをした。








遅い食事をとり終えて、お風呂に入るのがしんどくてぼんやりしている間、「くちなしの丘」という曲を聴いていた。何年か前に狂ったように聴いていて、スローなテンポがいい具合に気持ちを落ち着けてくれる。キセルがセルフカバーしているバージョンが特にすきだった。久しぶりに、なにもせず、その曲を聴いた。聴いていたら涙が止まらなくなってしまった。歌詞が胸に響いたとか、そういう理由ではなく、あえていうなら「わけもなく」涙が出た。仕事のことも介護のことも本当につらくて、ただ泣きたかったのかもしれない。泣くにも理由やきっかけが必要だということが少し可笑しい。








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