■そこにあった焼きプリン
冷蔵庫を開けると焼きプリンがひとつ。
祖母に食べてもいいか訊く。どんどん食べろとの答え。
仕事から帰って来たら食べようと思って、心のどこかで(もうそのときにはないかもなあ)と考えながら、仕事へ行った。
■消えた焼きプリン
仕事から帰って、お風呂に入る。
そういえば冷蔵庫のなかに焼きプリンがあった! お風呂上がりに食べよう。そんなことを考えていると、髪の毛を洗いながら顔がにやついてしまう。
お風呂上がりに冷蔵庫を開ける。
焼きプリンの姿はない。
あ、やっぱりね。
そう思いながらも諦めきれず、冷蔵庫の隅から隅で探してみる。やはり、ない。祖母が食べたのだろうか。だとしたらここで無闇に焼きプリンの話題を出してもあれなので、黙っておこう。さようなら焼きプリン。また会う日まで。
■現れた焼きプリン
三日くらい経ってから、焼きプリンがまた現れた。祖母はここしばらく買い物には出ていない。「どこかに仕舞っていた焼きプリンを冷蔵庫にもどした」のだろうか? 最近冷凍庫と冷蔵庫の区別が怪しいので、冷凍庫に入れてしまっていたのを冷蔵庫に戻したとか? 色々考えたが、とりあえず食べることにした。
祖母に「焼きプリン食べてもいい?」と訊く。焼きプリンなんかあったか? との答え。許可を得て食べてみる。なんの変哲もない焼きプリンだった。うまい。
■消えて現れるものたち
こんな風に消えて、数日後に現れるものたちがしばしばある。化粧用のパフ、アームカバー、仕事用の白シャツ、靴下、巻きポカ、下着。また、消えたままもう戻らないものもある。わたしの1番のお気に入りだった猫柄のアームカバーがそれだ。どこへ消えてしまったのだろうか。帰ってきてほしい。ずっと待っています。