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もうすぐなくなってしまうというコンビニの前でたばこを吸う。仕事でへこむことがあって(もちろんへこむことばかりではなくて、うれしいことだって少しはあるけれど)、ため息をつく代わりに煙を吐いた。疲れているなあと思うと目の奥がずしりと重くなる。仕事でのあれこれは結局仕事でしか挽回出来ないので、がんばるしかない。
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先日、連休をとって東京へ行った。仕事が終わってから支度をととのえて夜行バスに乗る。毎回、緊張する。ちゃんと予約できているだろうか、このバスで間違いないだろうか、そんなことをぐるぐる考えてしまう。ちゃんと予約できていたし、間違うこともなかった。
早朝に、かつて働いていた街に辿り着いた。自分はほんとうにこの街で働いていたのだろうかと不思議に思う。こんなに人の多い街で、どんな顔をして、どんな風に振舞っていたのだろう。
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東京から帰ると、もちろん山のような仕事が待っていた。ひとつずつ片付けながら、東京で暮らしていたときのことを思い出そうとする。でも「思い出そう」として思い出す記憶はいつも夢か何かのようにおぼろげで、本当のことだったのか確証が持てない。もしかしたら夢だったんじゃないかと、本気で思う。
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介護のこと、仕事のこと、他にも色々と考えれば考えるほど、焦りが生まれる。焦燥感中毒のように。じりじりと灼かれるように、気持ちが追い立てられる。でも焦ったところで出来ることが何か変わるわけじゃない。落ち着いて、ひとつずつどうにかしていくしかない。目の前の仕事を終わらせていくように。
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もうすぐなくなる、と聞いていたコンビニは、どうやら他の場所へ移転するだけのようだった。新しい場所で、この店は続いていくのだ。そう考えたらなんだか少し気持ちが落ち着いた。コンビニとわたしとの間に大した関係なんかないのに。たばこを灰にして、水を飲む。それから歩き出す。目の前の仕事を片付けていくように、確実に、一歩ずつ踏み出す。