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仕事を終えて、どろどろのハウルみたいな状態で帰宅する。今日はデイケアだった祖母からいろいろな話を聞く。わたしもいろいろな話をする。
デイケアで「自分は一人暮らしでなんでもひとりでしているし、食事だってひとりで作って食べている、一人暮らしだからなんでも自分でやらなくちゃなんだ」と言ったら、みんな褒めてくれた。そんな話をにこにことして話す祖母の前で、わたしは顔のないばけものになっている。
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わかっている。
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病気の症状のひとつだってわかっている。いい状態とわるい状態とで祖母の言動はびっくりするくらい変わる。おまえがいて助かっていると言ってくれた祖母の言葉はほんものだ。でも、なんでもひとりでできるという祖母の言葉も、彼女の世界では「ほんもの」なのだ。それがいいとかわるいとかではなく。
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いろんなことをごまかし続けて、何回も何回も何回も聞かされる話に相槌を打つ。でも、「それはもう聞いた」と言ってはいけないとわかっていても、ぞんざいな受け答えをしてしまうことがある。彼女は忘れても、わたしは忘れられないのだ。