忍者ブログ

からあげはあたため直さなくていいよ(ふにゃふにゃになるから)

アルツハイマー型認知症の祖母の介護を終えて、一人暮らしをはじめた人の日記

ひとの家でねむる日


出張で東京へ行った。日帰りをするのも何なので、高校からの友人の家に泊めてもらうことにした。付き合いは長いのに服を借りるのが初めてで、ばかみたいに緊張してしまった。友人の服を着て、友人の家の布団でねむった。わたしは寝つきが悪く、自分の家でもあまりうまく眠ることが出来ない。けれども友人の家ではいつもすやすやと眠ってしまう。





翌日一緒に家を出て、途中で別れた。ひとりでぶらぶらしながら大きな駅へ向かって、かつサンドを食べた。「わたしはかつて東京で働いていた」というのが、実は妄想のような気がしてしまう。かつサンドをきれいに食べて、新幹線に乗り込んだ。







出張の前に、ねこのえさを小分けにして、ふせんに「日付・朝(または夜)」をひとつずつ書いて、祖母にお願いしておいた。結果から書くと、半分はねこに与えられていて、もう半分は手付かずになっていた。これももう、いつものことだ。わたしの荷物の大半は片付けられていて、祖母は片付けたことも忘れている。



そもそも、「今から帰るから鍵を開けておいて」と電話をしたけれど、鍵はきちんとふたつとも施錠されていた(外からはひとつしか開けられない)。インターフォンは無視されてしまったので、ドアをどんどん叩いて開けてもらった。祖母は目を丸くしていて、「なんでおまえがここにいるんだ?」という顔をしていた。





祖母の機嫌を損ねないように、自分の中にうまれた「どうして片付けちゃうの?」という怒りを静かに、ひとつずつ潰しながらあちこちを探していく。クローゼットの奥に乱雑に隠されたわたしの服を見つけて、泣きたくなった。こういう風に書いてしまうと、祖母の悪口を書いているようで嫌な気持ちになる。そんなことをしたいわけではないのだ。じゃあ何が書きたいの。それももうわからない。いつだって祖母やまわりの人間の機嫌を損ねないようにしていて、そのためには自分の機嫌や都合や感情を潰していく必要がある。ときどき怒りたくなる。なんでこんなことをするの! と怒鳴りたい気持ちになる。けれど、わかっている。祖母はそういう病気になってしまったのだ。病気が彼女にああいうことを言わせて、表情や記憶を奪ってしまう。「そういうものなんだよ」。わかるだろう? だって大人じゃないか。おおきな機械でどしーんと感情を均せたら楽なのにね。







出張や旅行のたびにこういうことをしていて、次第に出掛けていくこと自体を億劫に思うようになった。出掛けるのは楽しいけれど、楽しい時間のあとのことを考えてしまう。次こそは、わたしは祖母に対して感情的に振舞ってしまうのではないか。そう考えてしまう。






東京の友人に「サンタさん来てくれないかな」と話して「何が欲しい?」と聞かれたときに「ゲームとか! いやでもゲームする時間一切なかった・・・・・・じゃあ何だろう・・・・・・・・・・・・・・・・・・何も欲しいものないや」と言って笑っていたけれど、もう最近何をするのも億劫だ。ほんとうは小説やイラストを「かきたいな」と思っているのに、指を動かすことができない。こうやって書けなくなっていくのだろうか。きっと、それがこわくて、ここでこうして文章を書き散らしている。書いて、安心している。






こんなこと書いてますけど、また明日夜行バスで東京へ行きます。拍手下さった方々、ありがとうございました。
PR

コメント

プロフィール

HN:
tebasaki700
性別:
非公開

最新記事

P R