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からあげはあたため直さなくていいよ(ふにゃふにゃになるから)

アルツハイマー型認知症の祖母の介護を終えて、一人暮らしをはじめた人の日記

ふくろうとシチュー


「ふくろうとシチュー」という名前は、何年か前に自分のサイトにつけていたものだ。その頃のわたしは、祖母の介護を自分がすることになるなんて思ってもいなかった。祖母は元気だったし、祖父も生きていた。何よりわたしはまだ「こども」だったので、自分のことだけで精一杯の毎日を送っていた。今は「おとな」だけれど、自分のことだけで精一杯だ、ほんとうのところは。それでも平気なふりをして、いろんなペルソナを付け替えて、演じている。






休日だったので、母と出掛けた。わたしも母も暦通りではない仕事をしているので、仕事納めという言葉とは無縁だ。街はいつもよりざわついていて、人の流れも盛んだった。 ずっと欲しいなと思っていた新しいフライパンを買い、クッションも、枕も、枕カバーも買ったし、かわいい食器も買った。ジェラートを食べて、イヤリングを衝動買いして、かっこいい靴を買った。たくさんの野菜を買って、パンと珈琲を食べて、鹿の子柄のキュートな襟巻きを買って、祖母の家に帰った。珍しく母もごはんを食べていくというので、シチューを作ってもらった。わたしはその横で明日のお弁当を作った。どうでもいい話ばかりした。だけどそのどうでもよさに、いつでも救われる。






祖母の薬の管理を任されることになった。それから、来年からはもっと母が祖母の家に泊まりにきて、色々と手伝ってくれることにもなった。そのことが本当にうれしかった。無理はしないでと言ったら、あんたこそ無理をするなと言い返されてしまった。






母の作ってくれたシチューはものすごくおいしくて、祖母とわたしはずっと「おいしい」しか言っていなかった。誰かの作ってくれたごはんはどうしてこんなにもおいしいのだろう。







今日買ったかわいいイヤリングをつけて出掛ける日はそうそう訪れないだろう。何しろ、やるべきことは山のようにある。祖母とわたしとをめぐる状況は刻一刻と変わっていく。これが正解だと落ち着くことはできない。今日は大丈夫でも、明日はだめかもしれない。でも、もしかしたら、今日はだめでも明日は大丈夫になるかもしれない。忙しくて、仕事もきつくて、なにもかも投げ出したくなるときがある。それでも踏ん張って、やり過ごす。わたしは、おとななのだ。







今日買ったイヤリングをつけられなくても、新しいフライパンでいろんなものを作ろうと思うし、新しいクッションででろんでろんにとろけながら本を読むつもりだし、新しいふかふかの枕で眠るのだ。母が作ってくれたシチューはまだ鍋に残っている。明日はそれを食べてから、かっこいい靴を履いてキュートな襟巻きを巻いて仕事に行ってやるのだ。






■ 拍手下さった方、ありがとうございました
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