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祖母が眠ったのを確認してから台所に立ち、お弁当のおかずを準備しはじめる。
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なぜ、朝にお弁当を作らないのか。簡単なことで、わたしは朝がめっぽう弱いからだ。「変温動物っぽい雰囲気だものね」と何人かの人に言われた。とにかく血圧が低く(さらに言えば体温もかなり低い)、朝に台所であれこれと立ち振る舞うのは到底無理なのだ。
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オクラのナムルを作りながら、自分がものすごく疲れていることに気がついた。眠りたいのに、眠れない日が続いている。からだは疲れていて眠ろうとするのに、目が冴えてしまう。いろんなことを考えてしまう。
鍋の中のオクラがきれいな色になる。きれいだなあ、ほんとうに。いい色だ。
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祖母の「お弁当」を皿に盛り付ける。自分の分もお弁当箱に詰めていく。明日はハードな一日になることがわかっている。だから大好きなおかずばかりを詰めた。祖母にも付き合ってもらうとしよう。
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ここ数日祖母は刺々しい。思わず応戦したくなるけれど堪えて、「そんな風に言わないで」と言ってみせる。ああ、疲れたなあ。ほんとうに疲れたなあ。「明日、仕事終わったら実家に帰るよ」と言うと、そうしろそうしろ、と楽しそうに祖母は言う。飼いねこは「また帰るのか」と言うように、不満そうに鳴いた。
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ウインナーはタコさんとカニさんにしたけれど、気がつくだろうか。気づいたとして、わたしが実家から戻って、そのときに祖母は覚えているだろうか? たぶん、というかほぼ確実に、「ノー」だ。それを悲しいとも虚しいとも、今はもう思わない。