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からあげはあたため直さなくていいよ(ふにゃふにゃになるから)

アルツハイマー型認知症の祖母の介護を終えて、一人暮らしをはじめた人の日記

月末のワンピース


仕事を終えて、最寄駅に着いたら祖母に「かえるコール」をする。最近、祖母は電話をしたあとに玄関に出てわたしを待っていることが多い。それがわかってからは寄り道せずに帰るようになった。「外の空気は気持ちいいな」と言いながら笑う祖母を見ていると、また、自分の感情がわからなくなってしまう。





「このワンピースを買うかどうか迷っているんだ」とスマートフォンの画面を祖母に見せた。祖母は眉根を寄せて画面を見つめている。通信販売で見つけた素敵なワンピース。祖母は昔洋裁の先生をしていた。「ああ、いい形のワンピースだ」と言う。



「色がチャコールとブルーなんだけど」
「ブルーだな、お前にはこの形なら青いのが似合う」
「そう?」
「そう。あと、お前はこういう、からだのラインがわかる服は意外と似合うよ」
「そうなの!?」
「そうだ」



じゃあ買っちゃおうかなあとわたしが言うと、半分お金出してやるから買え、と祖母は笑った。こういう風に話していると、祖母は認知症になる前の祖母のままだ。





結局、ブルーのワンピースを注文した。届くのは月末だ。たぶん、祖母は月末にはこの会話も、ワンピースのことも忘れてしまうと思う。でもわたしは覚えているし、ワンピースを着るたびに思い出すと思う。



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