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祖母の世界を想像する。想像する、ということはとても大切なこと。想像すればするほど、沈黙が増えていく。祖母の世界を想像するたびに、もっと彼女を労いたいと思う。けれどわたしも生きていていろんな状態になるので、いつでもやさしくすることは出来ない。そのことがいつもわたしを苦しめる。何かを言っても、言わなくても、つらくて苦しい。
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火星が明るいよという話をして、祖母が見てみたいと言うので二人で外に出た。どれが火星なのかわからない祖母に、あれが火星だと指差した。しばらく二人で火星を眺めていたら、祖母が「世の中には我々の思いもよらないことが多いな」と呟いた。本当に、その通りだね。
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祖母が庭の水やりをしなくなってしばらく経つ。わたしが実家に戻っている数日で、家庭菜園のトマトもすっかり枯れ果ててしまっていた。ぴかぴか光っている火星の下で、赤くなりかけているトマトの実も死にかけている。気休めにしかならないけれど庭の木々に水をやった。死にかけのトマトの実を自分に重ねて見ていることに気がついて笑った。トマトの方がずっと価値があって、おいしくて、すてきだ。
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実家にいる間にも倒れているおじいさんを見つけて介抱したり色々ありました。ほんとうに思いもよらないことが起こるものですね、人生というものは。
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拍手ありがとうございました。